「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」監督・脚本:吉田大八、原作:本谷有希子、主演:佐藤江梨子



期待以上の面白さ。
なんとなく
テンションと勢いだけで突っ切るタイプの映画かなって
勝手に想像してたんだけど、
全然。
細かいところまでしっかりつくられてるし、
役者たちの演技もすばらしかった。


冒頭のやりすぎな感じから
ずっとこのテイストで行くのって
大丈夫かなって思ったけど、
全体としては「嫌われ松子の一生」をまろやかにした感じ。


といっても、
登場人物の濃いキャラクター設定と
ストーリー展開の速さと意外性で
完全に引き込まれる。
一瞬のたるみも無く
音楽も効果的に使われている。
特に後半からは
無茶苦茶ぶりが加速して、
かなり、はじけてる。

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「東京・パリ・ニューヨーク ファッション都市論」南谷えり子・井伊あかり


東京・パリ・ニューヨーク ファッション都市論 (平凡社新書)

東京・パリ・ニューヨーク ファッション都市論 (平凡社新書)


パリ、ニューヨーク、東京のファッションの歴史や状況を概観したあと、ファッションと都市の関係を主に文化的側面から多面的に読み解いていく。前半はファッションブランドや業界特有の話でイマイチ興味を惹かれなかったけど、後半、徐々に都市との関係が掘り下げていかれるところは興味深く読めた。

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「百寿を超えて」奥村土牛・小倉遊亀・片岡球子


奥村土牛目当てに山種美術館に行ってきました。
やはり来館者は
お年寄り、熟年層ばかり。
しぶい。


http://www.yamatane-museum.or.jp/exh_current.html


個人的には彼の晩年にしか興味はない。
セザンヌの影響をうけているらしい
印象派のような日本画
キュビズム的でもある。

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「舞妓Haaaan!!!」監督:水田信生、脚本:宮藤官九郎、主演:阿部サダヲ


舞妓Haaaan!!! [DVD]

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テレビでやったので、観た。
いつもツタヤで借りるか借りないか迷ってたけど
結局借りてなかった。


クドカンの作品。
面白い。勢いもあって、爽快。
それなりに泣き所も用意してある。
ストーリーもキャラも何もかも
奇想天外な
笑いの要素に満ち溢れている。


阿部サダヲ演じる主役の男が
ずっとテンション高いまま
それでいてそんなに暑苦しくないという
これまでない全く新しいキャラクターで
なんとも新鮮。


一見さんお断りでも、一見の価値あり。


★★★★☆

「月とチェリー」監督・脚本タナダユキ


月とチェリー【ラブコレクションシリーズ】 [DVD]

月とチェリー【ラブコレクションシリーズ】 [DVD]


現在公開中の「百万円と苦虫女」で注目の監督、
タナダユキの作品。


シュールな視点で描かれた
ちょっと馬鹿っぽいコメディなんだけど、
冷めた女の目線とどこか熱い男の目線が
うまく交錯しながら、
なんか見過ごすことの出来ない
いい感じの男と女の関係を描いている。
所々挿入される、男のナレーションが笑える。


男は大学に入学し、官能小説サークル入るが、
そこで女に「題材」にされてしまう。
徐々にその状況に嵌りつつある男に対して
女は「題材」以上の何も感じていないようだ。
一方男は普通に別の女と付き合い寝てしまう。
しかし、頭にあるのはサークルの女のこと・・・


まあなんというか、
ある意味とっても純真な映画だ。


★★★☆☆

「未来世紀ブラジル」監督:テリー・ギリアム


未来世紀ブラジル [DVD]

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昔観たブレードランナーみたいな
暗い感じの映画かなって思ってたけど、
ちょっと違ってた。
もうちょっとコミカルな感じ。
ただし、
全体の雰囲気は相当な狂気に満ちていて
テリー・ギリアムがつくりだす
世界観が圧倒的であるがゆえに
ばかばかしいくらいに
恐ろしく、美しく、魅惑的。


情報管理社会への警告的な意味も踏まえて
アメリカ的なブラックユーモアも満載で
全体にシニカルなつくりになっている。
社会におけるテロへの位置づけなんかも
十分現代にも通じるテーマを感じさせる。

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「ある朝スウプは」監督・脚本:高橋泉、主演:廣末哲万、並木愛枝


ある朝スウプは [DVD]

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最近ちょっと注目の監督らしいので観てみました。



ラストこそ、かすかに希望を感じさせるものの
(それすらも確かではないのだが*1
映画内の99%暗い。。。
正直、見ていてあんまりいい気分はしない。


しかし、こういう濃密な感じの映画は
他にあんまり経験したことがなく
それだけにショッキングなものであることは間違いない。

*1:ここで見えたかすかな希望も、
実は彼女が男から解放されたことによる
ちょっとした安堵感に過ぎないのかもしれない。

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