「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」監督・脚本:吉田大八、原作:本谷有希子、主演:佐藤江梨子



期待以上の面白さ。
なんとなく
テンションと勢いだけで突っ切るタイプの映画かなって
勝手に想像してたんだけど、
全然。
細かいところまでしっかりつくられてるし、
役者たちの演技もすばらしかった。


冒頭のやりすぎな感じから
ずっとこのテイストで行くのって
大丈夫かなって思ったけど、
全体としては「嫌われ松子の一生」をまろやかにした感じ。


といっても、
登場人物の濃いキャラクター設定と
ストーリー展開の速さと意外性で
完全に引き込まれる。
一瞬のたるみも無く
音楽も効果的に使われている。
特に後半からは
無茶苦茶ぶりが加速して、
かなり、はじけてる。




初期山下敦弘を彷彿とさせる笑いのセンスもよかった。
山本浩司もいつもの役どころで出てたし。。


女優を目指すの姉。
ある理由で彼女に頭の上がらない腹違いの兄と
天然っぽい、どこか不気味なその新妻。
姉から何故か理不尽に虐められる妹。
姉が両親の訃報で東京から田舎に帰ってきたことから
彼らの複雑な事情のもとに成り立っていた
(かどうかすら分からない)関係が崩れていく。


先日「家族ゲーム」を見直したばかりで
つい比較してしまうと
家族ゲーム」が形式的な家族関係の崩壊を
正面から捉えたものだとすれば
本作はそうした崩壊はすでに前提とした
シニシズムの立場にあると言えるかもしれない。
うまくそれぞれの時代の風潮を写しとっていると言っていいだろう。
また都会と農村部の家族の関係性として
比較してみると面白いかもしれない。


★★★★★