「あなたになら言える秘密のこと」監督：イザベル・コイシェ、出演：サラ・ポーリー、ティム・ロビンス

あなたになら言える秘密のこと [DVD]

いい映画だとは思う。
脚本もよく出来てるし、
サラ・ポーリー、ティム・ロビンスとも
難しい役柄を好演してる。
色使いやキャメラワークなんかも基本好きな感じ。
繊細な心理描写に優れた
十分にいい映画と言い切れる。

ただどこか、どこかしっくりこない。
雰囲気としては
アキ・カウリスマキっぽいんだけど、
比べてしまうと、
どうも物足りなく感じてしまうんだよな。
ところどころ妙にしらじらしかったり、
どこか説明的だったり、
無駄に手持ちカメラでブレが気になったりと。
あとは音楽かな、どうも馴染んでないような気がした。

つらい戦争体験によって心を閉ざし
工場で働きながら禁欲的な生活を送っていた女性が
強制的に1ヶ月の休暇を命じられる。
しかし、ひょんなことから看護士募集を知り、
油田発掘所で事故にあった男の介護をすることに。
ぽつんと海に浮かぶ静寂に満ちたその場所で
火傷を負い一時的に視力を失った男の介護をしながら
周りの人々との交流もあって徐々に心を開いていくというもの。

やがて男が自らのつらい過去や過ちを打ち明けたことをきっかけに
彼女も自身のの秘密を打ち明け、二人は心を通わせる。
もしかしたらしっくりこなかったのは、
彼女の秘密があまりに過酷すぎて
自分自身なかなか現実として捉えられていないことが
大きな要因なのかもしれない。

彼女は男と別れ再びもとの生活に帰ろうとするが、
男の最後のセリフが含意する
生きることへの強いメッセージによって
新しい一歩を踏み出すことになる。

ラストにはさらに追い討ちをかけるような
哀しい事実が突きつけられるが、
すでに生きることに前向きになった
女性の心理が強く描かれている見事なエンディングだった。

★★★☆☆