「天国の口、終りの楽園」監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン
- 出版社/メーカー: ナド・エンタテイメント
- 発売日: 2003/03/28
- メディア: DVD
- 購入: 3人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (106件) を見る
真夏の海に駆け出してそのまま飛び込みたい。
おそらくこの映画を観終わった誰しもが
そんな気持ちにさせられてしまうことだろう。
このメキシコを舞台にした、
二人の少年と一人の女性によるロードムービーは
灼熱の太陽の下、どこまでも陽気で
ラテン系独特の雰囲気の中、
その溢れんばかりの若いエネルギーに満ちている。
夏休み、二人の少年は退屈を持て余していた。
そこに、夫に浮気され行き場のなくなった女性が現れ、
成り行きで一緒に旅することになる。
天国の口という実在しない理想のビーチ目指して。
道中、小さな事件が起きたり、
意外な事実が明らかになったりして
三人の関係は荒れる。
しかし、その関係はすぐに修復される。
天国の口にたどり着いたのだ。
それこそ、青春期独特の無邪気さによって、
三人はその楽園が永遠のものであるかのように
開放され、はしゃぎまくる。
しかしこの旅はあらかじめ5日間と定められていた。
それは車を借りられる期間によって
半ば強制的に定められた期間であるが、
それは同時に決して永遠ではない楽園を象徴している。
最終的に、女性はそのままビーチに残り旅を続け、
二人の少年は帰路につく。
映画自体は青春期への賞賛としてではなく、
大人になるための通過儀礼として
一つの青春期の終り(新たな始まり)を描いている。
そして最後に明かされる真実が
何よりこの一瞬の儚い輝きを強調する。
★★★☆☆