「69」村上龍
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1990/09/20
- メディア: 文庫
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久々に村上龍の小説を読んだ。
実はこれ4,5年前に買ったまま何故か読まずにいたもの。
だから映画化前で表紙が今のと違う。
作者自身の体験を下に描かれた17才の頃の青春小説。
読後感は今までに無く良い。爽快。
1969年という全共闘真っ盛りの社会的時代背景のなか
地方の学生である反体制の主人公にとって信じられるのは
映画、音楽、詩、アート、演劇・・・芸術と、
またそれを信じる友だけだった。
教師や刑事といった大人たちや、
従順に従う生徒たちは退屈の象徴でしかなかった。
権力の手先のような彼らに抗う手段は、
結局のところ彼らより楽しく生きることなのだと考える。
きっかけは好きになった女の子を振り向かせようという
不純な動機ながらも、
彼に備わったその圧倒的な創造性と構想力をもって
周辺を巻き込みながら
バリケード封鎖、フェスティバルを敢行する。
多くの人を巻き込むためには
それなりのパワーとエネルギー、
そしてカリスマ性が求められる。
それらを兼ね備えたその人間的魅力が、
つまり作者自身の魅力が
これ見よがしに見せ付けられる。
それでも嫌味一つ感じられないのは、
まさに村上龍という男の人間的魅力に他ならない。
★★★★☆