「街のあかり」監督:アキ・カウリスマキ


街のあかり [DVD]

街のあかり [DVD]


フィンランドの巨匠、カウリスマキの作品。
なんとも切ないストーリーながら最後は心温まる終わり方でほっとした。
時間が経てば経つほどじんわりと心に響いてくる映画


日本の郊外など比較にならないほど殺風景な光景が目に焼きついて離れない。
こんな街では一日たりとも生きてけないよ俺、と思った。
なんというか、すべてが完璧すぎるというか、
隙がなさ過ぎて気が休まらない感じ。
何より街に行き交う人々に表情が無く
街にあるはずの喧騒のようなものが全く感じ取れない世界。
そんな街に生きる孤独な男の物語。
どんだけ救いがないんだよと見終わる寸前まで思っていたけど・・・




それらがすべて男の心象風景に重なったときは、
まさに度肝を抜かれた、といった感じである。
舞台はカウリスマキによって周到に用意されたものだった。


それにしても、これほどまで哀しい男を見たことがあるだろうか。
同僚にも女にも無視されながら、
それでも一人じっと耐えながら、
人間としての尊厳だけは失わず前向きに生きる。
「・・・ていうのは冗談」っていうセリフには
色んなものが詰まりすぎてて正直泣けた。


いくら街自体にあかりが灯っていようとも、
まったく明るくない世界。
そして最後に気づかされる、
街のあかりとは、街に住む人間の優しい気持ち、
つまり愛による幸せの灯火のことなんだと。


★★★★★