「ニッポニアニッポン」阿部和重


ニッポニアニッポン (新潮文庫)

ニッポニアニッポン (新潮文庫)


妄想男がトキの解放、密殺を企てる話。
話はテンポ良く進み、
クライマックスに向けて徐々に盛り上がっていく。
ストーリー自体エンターテイメント的に楽しめる内容。
思考の推移と内面や心情の変化が
すべて包み隠さず文章と同時並行的に進行していくだけに
ライブ感覚で楽しむことができる。


徹底して主人公を冷ややかに見るどこか風刺的な視線と
それでもなおどこかしら愛情をもって見守る視線が
交錯するように感じられるのは
おそらく事実だけを突きつけられながらも作者の誠実な姿勢を感じ取るからだろうか。


過剰な妄想力に
★★★★☆