「八月の路上に捨てる」 伊藤たかみ


八月の路上に捨てる

八月の路上に捨てる


今期の芥川賞ということで読んでみた。


脚本家志望のフリーター青年の離婚に至る経緯が、
自動販売機の缶の補充という仕事の流れの中、
一緒に廻る先輩女性との会話を通して語られていくという小説。




なんだか、テーマ、設定からしてありがちなので、
心配したけど、予想通り、いまいちな内容だった。。。


心理描写とか表現方法にうまいところがあるものの、
話が淡々と語られるだけで、
誰かの饒舌な愚痴を聞かされたような、
そんな後味の悪いものだった。


特に意外なストーリー展開があるわけでもなく、
かといって、小説の背後にある何か、
主張というものも感じ取れなかった。
ああそう、という感想しか持てなかった。


自分に結婚・離婚の経験とかないから、
身に迫ってこなかったからかも知れないけど。


でも正直、審査員の作家さん達の選評にも共感できないところがあった。
確かに、簡潔ながら、不思議と高揚感のある文体は
読みやすく、才能を感じるけど、
ただ単に現代社会の実情を切り取るだけじゃ、
やっぱり小説として物足りないと思う。
村上龍石原慎太郎は推してなかったみたいだけど、
この賞自体、有名無実化しているのかなぁ。


ん〜ちょっと辛口すぎたけど、正直な感想なのでした。


☆☆☆☆☆