第57回アイカ現代建築セミナー 講師:セシル・バルモンド、伊東豊雄、テーマ:NEW Organisation


セシル・バルモンド伊東豊雄
二人それぞれのレクチャーがあって、
その後ディスカッション。


まずセシルから。
古典的な建築の構造様式から、
逸脱したもの、
アルゴリズムによる全く別なものまでの展開を
コンセプトスケッチで三つのパターンに描いて見せることで説明。


その瞬間彼が従来の構造エンジニアリングの領域を超越した
卓越した思考の持ち主であることが分かる。




非常に抽象的な思考が出来る構造家である。
元来構造家は職能として抽象的なものを具現化してみせるものである。
しかし、彼の場合抽象的な状態にとどまりながら、
様々なアイデアを展開して見せることができるようだ。


だからCCTVでは構造はすでに決まっているもので新しいものではない。
興味があるのはそうした構造が、
どう他のものに関係していくかなのだと
構造家らしからぬ視野の広さを垣間見せる。


セシルの建築におけるアルゴリズム
フラクタルの考え方は何とも興味深かった。
やはり過去のものを乗り越えるには
その延長ではなく
何か全く別の突然変異のような出現が必要になってくるのだろう。


伊東は最初に
流れの中にある杭(建築)ではなく、
流れそのものを建築にしていくイメージをセシルと共有し、
コラボレーションしていったことを前置きにして、
駆け足で近作を解説していった。
正直以前感じたほどの目新しさはなく、
セシルに比べ、
彼はまだ古典的な構造形式の発展形に囚われているような気がした。


ディスカッションではOMAのCCTVを例に挙げて超高層について語られた。
伊東によると超高層のシンボルの捉え方が変わってきていること。
これまで高くあることに力が注がれてきたが、
(セシルもある高さを超えると構造的に不利なことが多過ぎる云々と同調)
もっと不安定で、動きがあるものに、
ダイナミズムに注目が集まっている。
またこれからはその膨大な表面積に注目しているらしい。
環境的にも非常に重要で、
単なるガラス張りとしての境界ではなく、
人の皮膚のように呼吸することが必要であると。
地表面が張り付いているように考えることもできるのではないかと。


また伊東は今建築はいわゆる20世紀近代建築を超えて
新しい領域に到達したことを確信していると言っていた。
それは彼自身が提唱するエマージングリッドや
ジェネレイティッドシステムのことなのだろうが、
ほんとにそういうことなのだろうかとちょっと疑問に感じた。
どうも彼が一時代前の古い建築家に見えてしまうのは気のせいだろうか。
彼の世代はやはり近代に直接触れているからだろうか、
どうしても近代との対比でしか
建築を捉えてないような気がしてならない。。


また進行役の金田さんが
超高層はもはや建築の表皮というより、
都市を覆うような表皮と言っていたのが印象に残った。


★★★★☆