「台風クラブ」相米慎二監督


台風クラブ [DVD]

台風クラブ [DVD]


子供と大人の境界がまだはっきりしていた頃の青春映画。
この時代の日本映画はあまり見ていないので、
今後見直していこうと思っている。
山下敦弘監督もこの辺りに影響を受けてるのは、
見てみてやはり思った。


多感な中学生たちが、
台風が近づくにつれ、
徐々に狂喜に乱舞していく姿を描いた作品。




中学3年。子供っぽさを残す最後の時期。
地方の田舎町から抜け出せず、
それを象徴するかのような昔ながらの古い木造校舎を舞台に
個性豊かな子供たちが魅力的に描かれている。


彼らは常に子供から大人へなることへの憧れと不安の中を揺れ動いている。
だらしない大人として三浦友和演じる教師からは
将来への希望のかけらさえ見出せない。
逆に大人っぽい三上くんはその中間にいるようでいて、
時折子供の表情を垣間見せる。


なんだかよくわからないやり場のない感情が
台風が近づくにつれ開放され、
彼らは走り出し、暴れだし、踊りだし、逃避する。


激しく揺れる校庭の木々を背にして、
夜の教室で踊りだす彼らの姿が映った窓が重なった映像は衝撃的だった。


台風に対して人間が無力であるように
大人に対して抗うことの出来ない子供たちの無力感とか焦燥感とか、
かなり色んなものが詰まった映画だった。


★★★★☆