「メゾン・ド・ヒミコ」犬童一心監督、オドギリジョー・柴咲コウ主演

評判がいいので観てみた。

ゲイの老人ホームが舞台という設定が異様な中、
温かい人間愛を描いている。
難しいテーマを扱った挑戦的な意欲作だと思う。
複雑な人間関係、
愛に苦悩する姿、その心理描写は見事。

ただ期待しすぎたのか、
正直、評判ほどいいとは思わなかった。

オダギリジョーの愛しい者を失う切ない演技と
隙間隙間に見せるセクシーな佇まい、
全体に漂う過剰にシュールな雰囲気に
イマイチ乗り切れなかったからだろうか。

中盤の諸々の演出が、
重いテーマを軽くするためなんだろうけど、
なんかこう一つ一つ余計というか、
しつこい感じがしてクド過ぎた。

生きる根源的な意味を問う映画だとも思わないし、
（監督自身もそのつもりはないのかもしれないけど）
なんというか、ちょっと似非ヒューマニズムっぽくて。
こういう映画を素直に受け入れられない
自分の器が小さいような気もするけど。
「ジョゼと虎と魚たち」は結構好きなんだけどなぁ。。。

ただ、この映画の柴咲コウは
なんだか良かった。
自分に正直に不器用に生きる女性のかっこ悪さを
とてもかわいく演じている。
他、田中泯の存在感、西島秀俊の異様さが際立っていた。

総じて不思議な魅力に溢れた作品だとは思う。

★★★☆☆