「人のセックスを笑うな」監督:井口奈己、主演:永作博美、松山ケンイチ


人のセックスを笑うな [DVD]

人のセックスを笑うな [DVD]


小説が原作にあるとはいえ、
タイトルによって
ある程度ハードルが上げられてしまってるので
中身もそれなりに期待してしまうというか、
(もちろんそういう意味ではなく・・・)
何か文学的な濃い内容を期待してしまう故か、
ちょっと物足りなさが残る映画だった。


大学生の男の子が20歳くらい年上の女性を好きになり、
彼女もまた彼と愛し合うことを望むが、
やがて彼は彼女が結婚していることを知る。
彼に密かに思いを寄せる女の子がそれを遠巻きに眺め、
さらにその女の子に想いを寄せる男の子を含めた
男女四人のちょっと異質な恋愛模様
とくに絡まった複雑な人間関係になったり、
ややこしい問題は起こらないが、
それぞれの感情の変化を自然なタッチで描いた映画。


基本的に長回しを使った
その場の間とか空気を大切にする映画は好きなんだけど、
この映画の場合それが逆に
その場の空気を間延びさせてしまったり、
時間を意識させすぎてしまったりと
逆効果になってしまっている。
どうもそんな物足りなさを感じてしまう。
アッジェを思わせる構図とかあって
画面のつくりは各シーン頑張ってるんだけど。


永作博美蒼井優の二人が共演してるけど、
この二人の演技に対する役者としてのスタンスは
どうも対照的な気がした。
永作は役に対して、自分を空っぽにして
すっとその役に入りきってしまう感じ。
蒼井は自分の中にある色々なタイプの自分の像を
その役に合わせて引き出しくるといった感じ。


それゆえに永作は何処に本性があるのか分からない
怪しく不気味な役がいい。
蒼井はどの役を演じても、やはりどこかに
女優としてではない彼女自身の像が見え隠れする。


どちらが良いか悪いかではなく、
役と自分自身をどう対象化させるという意味で
それが最終的な表現の違いになって表れているから面白い。


★★☆☆☆